寺島です。
去年の冬、僕がまだ予備校に通っていた時のこと・・・
僕は予備校での自習を終え、空きっ腹を抱えて駅への道を歩いていた。
受験直前、最後の追い込みの真っ最中だった。
ふと前方にコートを着た二人組が見えた。
話をするでもなく歩くでもなく、怪しげにたたずんでいる。
僕は嫌な予感がしたが、まさか何事も起こるまいと決めて彼らの前を通り過ぎようとした。
しかし予感は的中した。
「スミマセン」
二人組のうちの一人が明らかに僕に話しかけている。
外国人のようだ。
僕はこの震えは寒さだけではない、と確信しながら、震えた声で答えた。
「な、なんでしょう?」
するとその人は聞いた。
「アナタノイチバンタイセツナモノハナンデスカ?」
宗教の人だ!
僕はこの時そう確信した。
僕は、その時気が動転していたのだろうか、
ふと、一発笑いを取ってやろうという気持ちが湧いてきた。
おそらく「家族」とか「愛」とかを期待しているんだろうがそうは行くか!
「眼鏡です」
と、答えてみた。
その人は・・・
ピクリとも笑わなかった。
僕は「少し詰めが甘かったか!」と、とっさに反省した。
僕は、初対面の人にすべってしまった恥ずかしさと、この外人怒り出すんじゃないだろうかという不安に潰されそうになっていた。
そして彼のそばにたたずみ、一言も発しないもう一人のアジアっぽい顔立ちの人は暗闇の中でかなり恐かった。
沈黙を破ったのは外国人だった。
「ホー、メガネデスカ・・・」
以外にも怒っていなかった。
僕は心底ほっとした。
しかし次の瞬間、彼の口から驚くべき言葉が飛び出した!
「メガネヲツウジテカミガアナタニカタリカケテキマス」
!!!
つづく




