• hjkn田原総一朗先輩

    【プロフィール】
    滋賀県彦根市出身。早稲田大学第一文学部文学科卒業。1977年に東京12チャンネルを退社して、フリーとなってジャーナリストの道を歩み始める。その後1987年より「朝まで生テレビ!」、1989年より「サンデープロジェクト」の司会、出演者を務める。多くの政治家・評論家・アナリストから本音を引き出す名司会者としておなじみである。現在、母校の早稲田大学で「大隈塾」の塾頭、特命教授を勤めるなど精力的に活動中。

    ・ジャーナリストを志した理由はなんですか


    -商人に対して良いイメージを持っていなかったから、商人にはなるまいと思っていた。だから商人に関係のある銀行とか商社には入りたくないと考えていたのが一つ。もう一つ、小学校五年生の時に日本が戦争に負けたことで、先生の言っていることが180度変わってしまったことが関係ある。戦時中は国のために体を張って戦うことが正しいとされてきたが、終戦後は戦争をしたやつは悪い奴だと教えられた。このように世の中の常識は簡単に変わってしまうから、常識というものは疑う必要があり、偉い人の言うことだからと言って信じてはだめだと思った。これがもう一つのジャーナリストを志した理由である。

     

    ・ジャーナリストとして心がけていること。

    -常識を疑うこと。世の中の風潮ができたら、その風潮は間違いであると感じること。
    また、偉い人の言うことだからって、すぐに信用しない。自分で見たこと、聞いたことを信用することを意識するのが重要。あと、疑問が出てきたらすぐにその疑問を追及することも心がけている。

     

    ・早稲田大学に入学を決めた理由はなんですか。

    -作家になりたいと思って入った。だから、早稲田の文学部しか受けなかった。けれど同時代に石原慎太郎、大江健三郎の台頭にショックをうけてしまって、作家をあきらめた。そしてジャーナリストに興味を持ち始めたんだよ。

     



    ・学生の時の一番の思い出はなんですか。

    -まず、僕の家は貧しかったから実家から仕送りをもらおうとは思わなかった。逆に家に仕送りをしようと思っていた。だからアルバイトがすごく大変だった。アルバイトは最終的には塾を経営するまでになった。先生を二人雇って、中学生の生徒を24~5人教えていた。このアルバイトが一番の思い出かもしれない。その後就職したら塾を経営していた時よりも収入が半分になった。

     

    ・早稲田大学のイメージはどのようなものですか。

    今も昔も変わらないのは生徒がたくさんいるってこと。今は違うと思うけど、昔は学校がつまらないと思った。先生が割といい加減なんだよね。何かを聞いてもちゃんと答えてくれないんだよね。だから非常に不満だったんだけど、早稲田って不思議な大学で卒業してから良い大学だって感じたんだよね。今早稲田大学で大隈塾をやっているんだけど、とてもいい大学だと思うよ。あと、慶応はスマートな大学で早稲田は野暮な大学だって言われるけど、僕はその野暮さが良いと思う。また、権力を握っても在野の精神を持ち続けることが大事。在野の精神というのは自分を客観的に見ることができることで、自分と違う考えを持つ人とも話し合うことができる心のこと。早稲田にはそれがあると思っている。

     

    ・今の自分と昔の自分で変わった点はありますか。

    -昔より丸くなったことかなあ。今まで多くの政治家を追及してきたけど、これでいいのかと思ってきた。批判すれば新しいアイデアが出てくると思ってきたけど、出てくる前につぶれてしまうんだよね。批判するなら、まず自分で代案を考えようと思った。

     

    ・一番影響を受けた人物は誰ですか。

    森鴎外に大きく影響を受けた。森鴎外は夏目漱石に並ぶ二大文豪なんだけど、漱石は書くことのみが中心だったのに比べ、鴎外は軍医をしながらいろんなものを書いた。鴎外によって僕はドロップアウトしてやりたいことをやるのではなく、ドロップアウトしないで何かをしながらやりたいことをやる考えを持つようになった。

     

    ・取材した人の中で一番インパクトがあった人はだれですか。

    -田中角栄。彼より面白い人物にはまだ出会ったことがない。僕はクリントンやブッシュ、サッチャーも取材してきたけど、やっぱり田中角栄が一番面白い。まず彼はスケールが大きい。戦後、小卒で総理大臣になったのは彼だけ。六法全書をそらでいえるくらいまで暗記していたため、吉田首相に認められいきなり法務大臣の法務次官に抜擢されたりもした。
    しかも田中角栄は普通官僚が作る法律を自分で作った。

     

    ・最後に、早稲田の学生に一言お願いします。

    -まず、何をやりたいかを見つけることが大切。とりあえずいろんな世界に入ってみて、考えてみる。早稲田大学の校歌の歌詞に“現世を忘れぬ 久遠の理想”とあるように現を忘れ、理想ばかり追うことの無いようにすること。

    (インタビュアー:塩貝純平)